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今週は教員採用試験特有の問題です。
今回は平成31年実施の山梨県教員採用試験で出題された相加平均と相乗平均に関する問題です。
今回の問題について
難易度は☆☆☆です。
他の都道府県の教員採用試験でも出題される頻出の問題です。
相加平均と相乗平均の正しい使い方をよりよく理解するためには良い問題ですので、高校生や受験生の方も是非考えてみてください。
難易度表記については以下の記事をご参照ください。
red-red-chopper-mathmatics.hatenablog.com
今回の問題の解説
教員採用試験の問題では、よく目にする問題です。
広島県の教員採用試験でも同様の問題が出題されました。
証明すべき不等式はですが、生徒が解答したものはとなっています。
この生徒の場合は、自分が最後に導き出した不等式と証明すべき不等式が異なっているので自分の解答が間違っていることに気がつけていますので、まだ救いがあります。
相加平均と相乗平均の関係をしっかり理解していないと、この生徒のような解答をしても気がつかないまま放置されてしまう可能性があります。
では、この生徒の解答のどこが間違っているのでしょうか?1つずつ探っていってみたいと思います。
生徒の解答1行目です。
、より、相加平均と相乗平均の関係より
ここの記述には問題はありません。
相加平均と相乗平均の関係は1つの定理で、以下のような命題になります。
かつならば、不等式が成り立つ。ただし、等号成立はのときである。
定理を使うにあたっては、定理の仮定を満たしているかのチェックが必要です。
生徒の解答ではこのチェックが行われていますので、相加平均と相乗平均の関係を使うことができます。
そうすると、次の2つの不等式が出てきます。
、
生徒はこの2つの不等式の大きい方同士と小さい方同士をかけて
としました。ここに落とし穴があります。
よく考えられるのは、不等式の大きい方同士の辺と小さい方同士の辺をかけることがダメだと考えがちですが、これはやっても良いことです。
なぜかというと、「がすべて正の数であるとき、かつならば」という命題が真だからです。
相加平均と相乗平均の関係式には等号成立条件が明記されています。
しかし、生徒の解答にはこれが明記されていません。
生徒が示した不等式の等号成立条件はかつですが、これを満たす実数は存在しません。
相加平均と相乗平均の関係の不等式には等号が含まれていますが、等号が含まれている不等式の証明は必ず等号成立条件を気にしなければいけません。
次のような証明を行うと、等号が成立する実数が存在するので、不等式の証明が可能です。
ここで、、なのでかつである。
相加平均と相乗平均の関係より
等号成立条件はすなわち、のときである。
いかがだったでしょうか?
等号を含む不等式の取り扱い方を学ぶには良い問題ではないかと思います。
不等式に等号があるかどうかも意味がありますので、細かいことかもしれませんがこういうところを気にしなければいけないです。
私がこの問題を初めて目にしたときは「どこが間違っているのだろうか?」と思いましたが、模範解答を見てなるほど!と思いました。
それでは!またのお越しをお待ちしております!(^^)/
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